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デフレを終わらせたのは「日銀の力」か「世界のインフレ」か?日本のバブル崩壊、金利、そして「失われた30年」の真実

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社会

導入:日本の経済政策に関する素朴な疑問

日本の経済は、1990年代初頭のバブル崩壊以来、「失われた30年」と呼ばれる長い低迷期を経験してきました。近年、私たちはようやく物価が上昇するインフレ局面を迎えています。

このインフレは、長年達成できなかった日銀の目標を達成しましたが、その原因はコロナ禍やウクライナ情勢による「コストプッシュ型」、つまり家計を苦しめる「悪いインフレ」です。

この記事では、日本のバブル期から現在に至るまでの金利政策と、多くの人が抱く「目標達成の方法は間違っていないか?」という疑問について、専門的な見解を分かりやすく整理します。


1.バブル崩壊後の金利政策と「幻の利上げ」

日本の金利政策について、Q&Aでまとめます。

Q1:日本はバブル崩壊後、コロナ前は一度も利上げしていない?

A1:いいえ、一度だけあります。

日本の政策金利は、バブル崩壊後の1990年代から超低金利が続きましたが、コロナ禍以前に一度だけ利上げが行われています。

  • 2006年7月: 日本銀行はゼロ金利政策を解除し、政策金利を0.25%程度に引き上げました。これが、2024年3月のマイナス金利解除(17年ぶりの利上げ)までの唯一の利上げでした。

Q2:利下げは基本的に円安にならないのか?

A2:原則として、利下げは円安要因です。

為替レートは、金利が高い国の通貨に資金が流れるという「金利差」の影響を強く受けます。

  • 利下げ 円安: 日本の金利が下がると、より高い利息を求めて資金が海外へ流出し、円の需要が減少するため、円安になりやすくなります。
  • 利上げ 円高: 逆に利上げを行うと、資金が国内に戻りやすくなり、円高になりやすくなります。

2.バブルの遠因:プラザ合意と日銀の判断

日本のバブルは、国際的な圧力と国内の金融政策が絡み合って生まれました。

Q3:バブルはプラザ合意後の利下げと、その後の急な利上げのせい?

A3:国際協調による利下げの長期化と、その後の急激な引き締めが要因です。

  1. プラザ合意(1985年): 米国の貿易赤字解消のため、円高を誘導することで合意。急激な円高から日本経済を守るため、日銀は公定歩合を2.5%まで大幅に引き下げました
  2. 利下げの長期化: この超低金利が長く続いた結果、市場に過剰な資金(流動性)が溢れ、不動産や株式に流れ込み、バブルを発生させました。
  3. 急激な利上げ: バブルの過熱を抑えるため、日銀は1989年5月以降、急激に金利を6.0%まで引き上げました。この急な金融引き締めが、バブル崩壊の引き金の一つになったとされています。

当時の日銀は、国際的な圧力や政府の意向に影響を受けながら、金融政策を運営していた側面があり、その判断のタイミングと急激さが後の「失われた30年」の遠因となったと批判されています。


3.失われた30年とインフレ目標達成の「質」

Q4:「失われた30年」はいつから?

A4:バブル崩壊が始まった1990年代初頭からです。

当初は「失われた10年」と呼ばれ、景気低迷が長引くにつれて「失われた20年」、そして現在では1990年代初頭から2020年代初頭までの約30年間を指す言葉として定着しています。

Q5:コロナ後のコストインフレが「失われた30年」のように長く続くのか?

A5:その可能性は低いと考えられています。

  • デフレの原因: 「失われた30年」は、需要不足とデフレマインド(物価が上がらないという人々の諦め)が原因でした。
  • 今のインフレ: 今のインフレは、供給サイドのコスト増(資源高・円安・人手不足)が原因です。
  • 希望的な転換: 今のコストインフレが、30年間動かなかったデフレマインドを強制的に打破し、賃金上昇に結びつき始めている点が、過去のデフレ期と決定的に異なります。

Q6:「悪いインフレ」で目標達成したのは経済学的に間違っていないか?

A6:政策の「手段」としては望ましくないが、「結果」としてデフレ脱却の契機になったと評価する見方が優勢です。

2013年からの大規模金融緩和(異次元緩和)は、本来、需要拡大による「良いインフレ」を目指しましたが、デフレマインドの根強さから達成できませんでした。

  • 批判的見解: 現在の物価目標達成は、外部要因による偶然であり、家計を苦しめる「悪いインフレ」であるため、政策の目的(経済の持続的な成長)を達成したとは言えません。
  • 擁護的見解: 意図した手段ではないが、この外部からのショックがデフレマインドを打破するという、異次元緩和が果たせなかった役割を果たしました。この契機を活かし、賃金上昇を伴う「良いインフレ」に転換できるかどうかが、今の日本の最大の課題です。

まとめ

日本の金利政策は、バブル期の国際協調の圧力から始まり、超長期のデフレを経て、ようやくインフレの局面を迎えました。今のインフレは理想的な形ではありませんでしたが、デフレマインドを打ち破るきっかけを与えたと評価できます。

「失われた30年」の二の舞いを避ける鍵は、このインフレを「コスト高倒れ」で終わらせず、「賃金と需要が増える成長型のインフレ」へと育てられるかにかかっています。

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